OSAKA 未来アスリート

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大阪にゆかりのあるアスリートの皆さんにご登場いただき、
スポーツへの想い、地元への想いについて聞くスペシャルインタビュー。
競技のことだけでなく、貴重なエピソードや素顔にも触れた
SPORTS OSAKAならではの特別なコンテンツです。

Vol.03

BMX

朝比奈 綾香 選手[運動器ケア しまだ病院]

Ayaka Asahina

今回ご登場いただいたのはBMXライダーの朝比奈綾香選手。BMX(バイシクルモトクロス)は2008年の北京オリンピックから正式種目となり、いま世界的に人気が高まっている注目の競技です。地元・大阪府堺市を拠点に世界の大舞台を目指す、朝比奈選手にお話を伺いました。

目標を失わず、ひたむきに努力することが大事。
未来に向かって突き進みましょう!

朝比奈 綾香

Interview

BMXとの出会いについてお聞かせください。

私が10歳の時に、近くの大泉緑地公園(堺市)で行われたレースを家族で見に行ったのがきっかけです。もともと父が小さい頃にやりたかった競技らしく、子供たちにやらせようと考えて誘ってきたようです(笑)。本当は弟にやらせたかったみたいですけど、私のほうが「やりたい!」と言って。翌日、さっそく自転車を買いに行き、道具も一式揃えてもらいました。

初めてレースを見た時の印象はどうでしたか?

自転車がもの凄いスピードで走り回って跳んだりするのが驚きで、その迫力に感動して、一瞬で心を奪われたという感じです。小さい頃から運動音痴だったので、まさか自分がスポーツに興味を持つなんて考えてもいませんでした。それほどBMXとの出会いが衝撃的だったんだと思います。

本格的にBMXをやろうと決めた時期は?

初めてコースを走った時、2つのコブでいきなり転んじゃったんです。その時、痛かったけど、「楽しい!」って感じました。それから2、3カ月後に、一番下のビギナークラスでレースに出たんですが、いきなり優勝しちゃったんです(笑)。両親も大喜びでした。最初の1年は「エンジョイ・ライド!」という感じで、ただ自転車に乗ることを楽しんでたんですけど、2年目からは全国のレースに参加するようになって、本格的にやりたいと考えるようになりました。

BMXがオリンピックの正式種目になったというニュースを聞いた時はどうでしたか?

まさか正式種目になるとは思ってなかったですね。オリンピックという大きな目標ができたことももちろんですが、BMXが一気に注目されるようになり、BMX人口が増えるきっかけが生まれたことが嬉しかったですね。

オリンピックという目標ができて意識は変わりましたか?

初めて世界選手権に出場して、世界にはこんなに強い選手がいるんだと実感しました。体力面も技術面もぜんぜん、自分はまだ世界で闘えるレベルじゃないと思い知らされました。それからの一年間は、とにかく猛烈に練習して、鍛えて、2度目の世界選手権では準決勝まで進むことができました。優勝は逃しましたが、世界で闘える自信が生まれて、このまま突き進もうと思いました。

2015年に選手生命に関わる大きな事故に遭いました。それでもBMXを続けたいと決心させたものは何ですか?

事故の直後は、再び自転車に乗れるとは思っていなくて、将来のことを考える余裕もありませんでした。でも2カ月ほど経って、ちょっと落ち着いた頃に、BMXの仲間がお見舞いに来てくれるようになり、もう一度乗りたいなと考えるようになりました。
一番大きなきっかけは、先輩の女性ライダーの言葉でした。「1年後に大阪で全日本選手権があるけど、出るやろ?」「大阪やで、出るしかないやろ!」って言われて(笑)。「そうか、もう一度、乗るしかないな」と思ったんです。先輩が背中を押してくれたおかげで、未来を考えることができるようになりました。

自転車に乗れるようになるまで、どれくらいかかりました?

全日本選手権が7月で、その年の1月に初めて運動器ケア しまだ病院を訪れました。BMXの選手も何人か通っていて、たくさんのアスリートがお世話になっている病院だと知り、「もう一度、自転車に乗りたいんです!」と言って、通うようになったんです。最初は通院してリハビリを受けていましたが、これでは大会に間に合わないと思い、入院することにしました。そして、自転車に乗れるようになったのは5月でした。

また自転車に乗れるとわかった時はどんな気持ちでしたか?

まさか本当に乗れるようになるとは思っていなかったので、嬉しいというより、びっくりしたという感じです。それから乗る機会を少しずつ増やしていって、コースを1周走り切れた時は、またスタート台に立てたという実感がわいて感動しました。
怪我をする前は、常に自分を追い込みながら練習をしている状態で、正直、自転車を楽しむ余裕はありませんでした。でも、怪我をして気づいたのが「楽しんでやらなきゃ、意味がない」ということでした。その気持ちをずっと忘れず持ち続けて、競技に取り組もうと心掛けています。

もちろん、目標はパリオリンピック(2024)ですよね。

はい。まずは国内で結果を出すこと。結果を出して、ナショナルチームに復帰したい。そして海外のレースに参戦して、オリンピックの代表選手になることが目標です。

リオ五輪(2016)を目前にした2015年、全日本BMX選手権大会前日の遠征先で、飛び出してきた自動車にはねられる。両足切断も考えられるほどの大怪我で、再起不能とも言われた。しかし、担当医師の「自転車にまた乗れるよ」という言葉と、本人の「また乗って、もっと速く走りたい」という想いと不屈の精神で、10回以上の大きな手術とリハビリを乗り越え、事故からわずか1年後の2016年には全日本BMX選手権に出場を果たす。それは、多くのアスリートたちに勇気と希望を与えた。

運動器ケア しまだ病院で働くことになったきっかけは?

最初は一般の利用者としてトレーニングとリハビリをさせてもらっていました。まだ大学生だったのでアルバイトを探していたら、ちょうど疾病予防施設のヴィゴラスで募集していて。「私でもいいですか?」って言って、採用してもらいました(笑)。その後、大学を卒業する時に「ここで所属アスリートとして雇ってくれませんか」と相談して、就職させていただきました。
事故に遭ってからアスリートとしては常にケアが必要な状態ですので、それをフルでサポートしてもらえる環境の中にいることが自分にとって大きいですね。

ふだんの生活スタイルを教えてください。

病院で勤務をしながら、上手く時間を調整しトレーニングと練習をおこなっています。休みの日は、大好きな映画やアニメをビデオで鑑賞しています。友達と遊びに出かけたりもしますね。自転車のことを考えないでリフレッシュする時間も大切にしています。

地元・大阪、堺市への想いを聞かせてください。

いまも堺市の実家で暮らしていますが、BMXをやるには最適な環境だと思います。大阪府内には大泉緑地と岸和田の2箇所にコースがあって、どちらも堺からのアクセスが便利。全国的に見ても恵まれた環境で、わざわざ他府県からやって来る人もいるくらいです。
私自身は、家族と一緒に頑張ってきたという気持ちが強いので、ここが理想の場所。両親からは「そろそろ一人暮らしをしろよ」と言われますが、私は絶対に堺から動きません!(笑)

朝比奈選手にとってBMXはどんな存在ですか?

人生になくてはならないもの。何か大きな決断を迫られた時に、最初に考えるのはいつもBMXのことなんです。生きてきた中で、BMXをやっている時間のほうが長くなりました。きっと引退しても趣味として続けていくと思いますし、一生付き合っていきたいですね。
BMXはやっている本人も楽しいですが、見るのも楽しい競技です。ぜひ実際に見て、その迫力を感じてください。そして、BMXを好きになって、自分もやってみたいな、と感じてもらえたら嬉しいです。

最後に皆さんへのメッセージをお願いします。

私自身の経験から。人間は、どん底に落ちたとしても、努力すれば必ず這い上がれるものです。それは私が実際に這い上がってきた人間だからこそ言えることだと思います。その中で私が大切にしてきたのは「目標を失わないこと」。目標を持ち、それを目指して突き進むことが大事。諦めそうになったとしても、気持ちを失いかけたとしても、未来に向かってひたむきに努力する気持ちを忘れないでください。

【取材日】2021年7月14日
【取材協力】医療法人はぁとふる 運動器ケア しまだ病院

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Profile

朝比奈 綾香[アサヒナ アヤカ]

大阪府堺市出身。1996年生まれ。10歳でBMXを始め、国内外のレースで数々の実績を残す。リオ五輪を目前にした2015年、選手生命に関わる大事故に遭うものの、わずか1年で復帰、2016年の全日本BMX選手権への出場を果たした。現在、2024年パリオリンピックの日本代表入りを目指して闘いに挑み続けている。運動器ケアしまだ病院所属アスリート。Eudynamicsヴィゴラスに勤務。

■主な戦績
・2012年 世界BMX選手権大会(イギリス)ベスト16
・2012年 全日本BMX選手権大会 2位
・2013年 JBMXFシリーズ 1位
・2013年 アジアBMX選手権大会(シンガポール)2位
・2013年 全日本BMX選手権大会 3位
・2014年 全日本BMX選手権大会 3位
・2014年 BMXタイオープン 2位
・2014年 アジアBMX選手権大会(インドネシア)4位
・2016年 全日本BMX選手権大会 3位
・2017年 全日本BMX選手権大会 3位
・2017年 ひたちなかBMX国際 5位

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