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  3. Vol.02 ベストを尽くして勝つことが最大のメッセージ。クライミングの楽しさを感じて欲しい。 スポーツクライミング 原田 海 選手[プロクライマー/日新火災]

大阪にゆかりのあるアスリートの皆さんにご登場いただき、
スポーツへの想い、地元への想いについて聞くスペシャルインタビュー。
競技のことだけでなく、貴重なエピソードや素顔にも触れた
SPORTS OSAKAならではの特別なコンテンツです。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

Vol.02

スポーツクライミング

原田 海 選手[プロクライマー/日新火災]

Kai Harada

今回ご登場いただいたのはプロクライマーとして活躍中の原田海選手。東京2020オリンピック から正式種目となったスポーツクライミングで日本代表選手に選出された、注目度の高いアスリートです。オリンピック直前の貴重な時期、インタビューにご協力いただきました。

*新型コロナウイルス感染症対策の観点からリモートによる取材としています。

ベストを尽くして勝つことが最大のメッセージ。
クライミングの楽しさを感じて欲しい。

原田 海

Interview

クライミングを始めたきっかけを教えてください。

始めたのは小学5年生、10歳の時です。岸和田市の実家の近くに古いクライミングのジムがあって、「なんか楽しそう」と思って通いだしたのがきっかけです。単純に高いところに登ったりするのが面白そうだったし、サッカーや野球もしていましたが、普段なかなか体験できないスポーツをやってみようかなと興味を持つようになりました。

本格的にクライマーを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?

そのジムには10年以上通っていましたが、大会などに出場するようになったのは高校になってから。ジム仲間の人たちに近々行われるクライミングの大会があれば教えてもらい、自分で参加の申し込みをしていました。世界ユース選手権(2015年)に初めて出場した時に2位になって、クライマーになろうかと考えるようになったんです。

2018年世界選手権ボルダリングで初優勝したことが大きな転機に?

その頃は大学に通いながらだったので、まだプロになりたいとまでは考えていませんでした。いろいろな大会に参加し、そこで勝つことだけを意識していましたね。2016年にスポーツクライミングがオリンピックの正式種目に決まり、日本代表になることも目標の一つになりましたが、個人的にはオリンピック出場がすべてだとは考えていませんでした。

この度、正式に東京2020オリンピックの日本代表に決まりました。お気持ちは?

決まった時は、正直ほっとしました。オリンピックがすべてではない、という考えは今も変わりませんが、選ばれたからには勝ちたいし、メダルを獲りたいと思っています。ベストな状態で臨んだら、絶対に獲れるという自信があります。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

普段の練習スタイルを教えてください。

東京のクライミングジムに行って週に4、5回練習しています。1回だいたい2〜3時間ですが、大会前の時期など、長い時は5〜6時間続けてやることもありますね。練習メニューも自分で考えて、とにかく集中してやること。無駄のない練習を常に心掛けています。マシンを使った筋力トレーニングはあまりやりません。それよりも、実際に壁を登ることで筋力や体力をつけていきます。陸上選手で言う「走り込み」ですね。クライミングの場合は「登り込み」でしょうか(?)

3種目(リード、ボルダリング、スピード)のうち、いちばん得意なのは?

やっぱりボルダリングですね。いちばん長くやっていることもあって、自分でも得意種目だと意識しながらやっています。リードも好きです。ただ、スピードに関しては、やり始めた時期が遅く、気軽に練習できる施設も少ないので、やや苦手意識を持っています。

現在、一人暮らしだそうですが、食事には気をつかっていますか?

食事はなるべく自炊するようにしています。お肉料理が好きなので、基本は肉中心ですね。野菜は小さい頃から苦手だったんですが、最近は意識して克服できるよう心掛けています。あと、気分転換に食べるお菓子も部屋に常備しています(笑)

原田選手は岸和田市のご出身ですが、帰省した時の過ごし方は?

あまり帰る機会が無いですが、帰省した時は、母と買い物に行ったり、食事に出かけたりします。地元の友人たちと食事に行くこともありますし、昔のクライミングジムの仲間とも必ず会うようにしています。普段会えない人たちと故郷で過ごす時間を大切にしたいと思っています。

いまクライミングの人気が高まっていますが、どのように感じますか?

オリンピックの正式種目に決まってから、興味を持ってくれる人が増えて、競技人口も急に増えたなという実感があります。クライミングジムも全国的に増えているようですし。
僕が始めた頃はまだクライミングというものを知っている人が少なく、スポーツとしての認知度も低かったので、いまの現状はとても嬉しいですね。これまであまり詳しく知らなかった知人たちも積極的に話をしてくれますし、応援してくれています。

若手選手の活躍が目覚ましく、これから始めようという人もどんどん増えそうですね。

若くて実力のある選手がまわりにいると刺激になりますね。何より「幼い頃からクライミングに興味を持って、やってくれているんだ」ということが素直に嬉しいです。他の競技に比べて、クライミングは誰でも気軽に始められるし、生涯続けられるスポーツですので、たくさんの人にクライミングの楽しさを実感してもらいたいです。そして、僕自身もそんな若い選手たちが目標にするような、理想の選手像になれたらいいなと思っています。

原田選手のクライマーとしての将来の目標は?

これから東京2020オリンピックだけでなく、いろいろな大会が控えているので、それに向けた体づくりをして、ベストを尽くして勝つことですね。その先のことは、まだハッキリとはわかりません。ただ、クライミングをもっと知って欲しいし、競技人口もまだまだ増やしていきたいので、その普及活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

【取材日】2021年2月8日
【取材協力】(株)博報堂DYスポーツマーケティング アスリート事業本部

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Profile

原田 海[ハラダ カイ]

大阪府岸和田市出身。1999年生まれ。2015年全日本クライミングユース選手権ボルダリング種目で初優勝し、翌年の同大会で2連覇を達成。大学進学を機に活動拠点を東京に移し、2018年世界選手権ボルダリングで初出場・初優勝を飾る。2019年世界選手権コンバインド種目で4位(日本人2位)となり、2020東京オリンピック日本代表選手に選出される。現在は日新火災に所属。

■主な戦績
・全日本クライミングユース選手権ボルダリング(2015) 優勝
・全日本クライミングユース選手権ボルダリング(2016) 優勝
・世界選手権ボルダリング(2018) 優勝
・世界選手権コンバインド(2019) 4位
・第15回ボルダリングジャパンカップ(2020) 優勝
■各種目の説明
【スピード】
高さ15mの壁に設置されたロープを使って頂上まで登る速さ(タイム)を競います。2コースが用意され、予選ではそれぞれのコースに1度ずつトライし、速いほうのタイムを採用。決勝は2名ずつ並んで行い、速い選手が勝ち抜けになります。
【ボルダリング】
高さ約3〜5mの壁に複数の課題(コース)が設けられ、いかに少ない回数で多くの課題を登り切れるかを競います。トップ(最上部)のホールドを両手で掴んだ時点でその課題はクリアとなります。1課題につき制限時間は4分で、制限時間内なら何度でもトライできます。
【リード】
高さ12m以上の壁に設けられたルートを6分以内でどこまで登れるかを競います。ロープをクイックドロー(ロープを引っ掛ける器具)に掛けながら登り、トップのクイックドローにロープを掛けた時点で完登となります。

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