車いすバスケットボールに出会ったのはいつですか?
初めて出会ったのは小学6年の時です。実家の近くにある長居公園に「大阪市長居障がい者スポーツセンター」があって、そこで車いすバスケットボールをやっていると母から聞き、一緒に見学に行ったのがきっかけでした。
その時は普通にバスケットボールをやっていたし、まだ次の手術も決まっていなかったので、「ああ、こんなバスケもあるんやな」くらいな感じで、正直あまり乗り気ではなかったです(笑)。
車いすバスケットボールに専念したきっかけを教えてください。
中学2年で2度目の手術をして、その時に病院の先生に「バスケットボールは辞めなさい」と言われたことです。もう毎日、泣いていましたね。大好きなバスケットボールを辞めなければならないこともそうですが、自分で諦めて決断したわけではなく、誰かに強制的に辞めさせられるということに納得がいかなくて、とても悲しかったです。
そして、高校1年の時、たまたま知り合いの方から、オーストラリアで車いすバスケットボールの遠征があり、19歳以下で男女関係なく誰でも参加できると聞いて興味を持ち、参加を決めました。その時から、車いすバスケットボールへの転向をぼんやりと考えていました。
オーストラリア遠征への参加が大きな転機になったわけですね。
はい。遠征にはいろんな地域の選手が集まっていて、同じ年代の選手たちと試合をできることがとても楽しかったです。こういう選手たちともっと試合がしたくて、車いすになってもパラリンピックがある。だったら、それを目指そうと決意して、本格的に車いすバスケットボールに打ち込むようになりました。
普通のバスケットボールと車いすバスケットボールの違いは何ですか?
走る、止まる、ボールを扱う、その全てを手でやらないといけないところです。私の場合は、もともとバスケットボールのスキルは持っていましたが、車いすの操作やコントロールといった車いすのスキルを養うのが大変でした。一方、ほとんどの人は、障がい者になってから車いすバスケットボールを始めるので、バスケットボールのスキルを磨くことが大変だと思います。
自分が思うようにプレーできるようになったのはいつ頃ですか?
まだです(笑)。車いすが変わったりすると反応が微妙に違いますし、どんな状況でも車いすを自分の体の一部にしないといけない。思ったように正確に動けるように練習を重ねて、ミリ単位で調整できるようにならないと駄目だと思っています。
チームプレーをする点で難しいことはありますか?
選手それぞれに障がいの程度が異なるので、攻め方、守り方、連携の取り方、全部が難しいです。呼吸やタイミングがぴったり合わないと、上手くいくはずのプレーも失敗します。とにかく、何度も練習を積み重ねてベストなタイミングをみんなで見つけられるようにしたいです。それが上手くできた時は、みんなで練習をやっていて楽しいと感じられる瞬間でもあります。
ゲームではコミュニケーションが大事なので、練習中も含め、ずっと声を出しています。言葉にしないと、何をしたらいいのか伝わらないことが多いので。
現在、所属しているカクテルはどういうチームですか?
私が所属する前から、ずっと強いチームです。才能のある選手が集まってくるということもあるかも知れませんが、他のチームに比べて練習量が多いというのが大きなアドバンテージになっていると思います。カクテルのように、チーム練習を週に1、2回やっているところは全国でもほとんどありません。常にコーチが付いてくれているのも大きな強みだと思います。そういう恵まれた環境に自分がいられることを、とても有り難く感じています。